「甘い白ネギ」という言葉は、産地のどこでも使われます。ですのでこの記事では、甘さを「なぜそうなるのか」から説明します。土の話と、寒さの話の2つです。
結論:甘さは「土」と「寒さ」で決まります
白ネギの甘さは、品種よりも育つ場所の条件で大きく変わります。同じ品種でも、産地が変われば味が変わるのはそのためです。私たちの畑には、この2つが揃っています。大山の火山灰からできた黒ぼく土と、雪が積もるほどの冬の冷え込みです。
黒ぼく土とはどんな土か
| 定義 | 火山灰が積もってできた、黒くてやわらかい土のこと |
| 平たく言うと | ふかふかで、水はけがよく、それでいて水を抱えていられる土 |
| どこにあるか | 火山の近くに分布します。西日本では鳥取県西部と島根県東部に限られます |
大山は中国地方の最高峰で、火山です。その火山灰が長い時間をかけて積もったのが、私たちの畑の土です。黒ぼく土が白ネギに向く理由は、3つあります。
- 深く耕せること。白ネギの白い部分は、育つ途中で土を根元に寄せることで長くなります。硬い土では寄せられません。私たちは成長期に3回、土を寄せます。
- 水はけがよいこと。ネギは根が水に浸かると弱ります。雨の多い地域では、ここが効きます。
- 有機物を多く含むこと。肥料の効き方が穏やかになり、味が急に荒れません。
ちなみに、歩くと沈むほどやわらかい土です。収穫のときは足を取られます。撮影に来てくださった方がいちばん驚くのが、この歩きにくさです。
寒さが糖を作るしくみ
植物は、凍らないために糖を蓄えます。細胞の中の糖の濃度が上がると、凍る温度が下がるためです。砂糖水が水より凍りにくいのと同じ理屈です。
鳥取県西部の冬は、1日で30センチ、積もると70センチほどの雪になる年があります。雪が積もった下は、0度前後で安定します。この状態が続くと、白ネギは糖を蓄え続けます。
雪が降ると畑が全滅するように見えます。実際、私たちも初めての冬はそう思いました。掘り出してみると、逆でした。
糖度を測ったときの話
2026年1月、雪の下から掘り出したネギを自社で測ったところ、糖度11度を記録しました。一般的な白ネギは7〜9度とされますので、そこそこ高い数字です。
ただし、これは正直にお伝えしておきます。この11度は、その年の、いちばん条件の良かった区画のものです。すべての白ネギが11度になるわけではありませんし、年によっても、畑によっても変わります。自社で測った数字であって、第三者機関が測ったものでもありません。
数字を看板にすると、条件が悪かった年に嘘になります。私たちが本当にお伝えしたいのは「11度」という数字ではなく、雪の下で寒さにあたるほど甘くなるという、この土地の性質のほうです。
甘い白ネギの見分け方
お店で選ぶときの手がかりを5つ挙げます。私たちが選果場で見ているのと、だいたい同じ基準です。
- 持ったときに重い。白い部分が詰まっている合図です。
- 白い部分に黄色い箇所がない。黄色は傷みかけの合図です。
- 白と青の境目がはっきりしている。土寄せがきちんとされた証拠です。
- 皮に張りがある。しなびたものは、収穫から時間が経っています。
- 時期が11月から2月である。同じ産地でも、この時期がいちばん甘くなります。
甘さを活かすなら、焼くのがいちばん簡単です
甘い白ネギは、細かく刻んだり長く煮込んだりすると、せっかくの甘さが分かりにくくなります。いちばん簡単なのは、7センチほどに切って、オリーブオイルと塩をまぶし、オーブントースターで20分ほど焼くことです。
焼くと水分が飛び、甘さが凝縮されます。詳しい作り方は最高の白ネギの最高の食べ方に書いています。
最終更新:2026年9月
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